ひころいちファーム

ひころいちファーム 村上一憲 様

手記にもあるように、製麺機の実演訪問時に、震災による津波を背に小さな娘さんを背負い竹やぶの崖を駆け上った話をお聞きしていました。当社でも、わずかばかりの復興支援ではありますが、米粉麺の製麺といった形でご協力させて頂きました。陸前高田市に製麺場を手当し、新たにスタッフ2名を雇用し、9月1日より事業をスタート。あれも無いこれも無いといった状況から、逞しく前進している代表の村上さんの姿には感銘を受けました製麺・販促に日々頑張っておられる様子です。

3月11日、私は迫りくる津波を背に、妻と娘(その当時4ケ月)と3人急な竹やぶを登り、九死に一生を得ました。あと分逃げるのが遅ければ私達は命を落としていたでしょう…。 私が住む岩手県陸前高田市は街が壊滅し、多くの方々が亡くなりました。私も家は全壊し、ビニールハウスや農地も流出しました。しかし、運よく生きて助かることができました。 

震災後一ケ月経った頃でしょうか。「現代農業」という雑誌の広告に阿部技研様の「麺打ち機」が載っていました。私にも出来るだろうか…思い切ってお電話したのがきっかけでした。 私は震災前から、自家産米から「米粉麺」を委託製造してもらっていたので、以前から自分で製麺ができたら「最高だ」と思っていました。阿部技研の社長さんは、海のものとも山のものとも分からない私が初めてお電話したのにも関わらず、しっかり私の思いを聞いてくださり、1週間後には私が避難していた実家まで来て実演をしてくださいました。本当に一期一会とはこのことと思いました。 そんな温かいご支援と岩手県の補助事業をいただきながら、半年後の9月に“ひころいちファーム 麺工房”としてこぎ着けました。震災で壊滅した陸前高田で、微力ながらでも復興の言動力になって立ち上がっていきたいと思っております。助かった人には何か役割があって生き残ったのでしょうから…。

あの日の経験は恐ろしいものでありましたが、私の人生にとって大きく一歩を踏み出す再出発のきっかけとなったのかもしれません。阿部技研様との出会いに感謝です。これからもよろしくお願いします。         

岩手県 ひころいちファーム  村上一憲