製麺機と一口に言っても本当に様々な種類・特徴があります。
まずはお客様の希望に合う製麺機タイプを絞りましょう。食数に製麺能力が合っているか、設置スペースは問題ないか・・・など下記の特性比較表を参考にしてください。
製麺機の特性比較表
製麺方式 | 押出式製麺機 | ロール式製麺機 | ||
項目 | スクリュー式 | プレス式 | ||
作りたい食数 | 100食以下 | 100食以上 | 500食以上 | |
麺の種類 | そば 十割 | ○ | ○ | × |
そば つなぎ入り | ○ | ○ | ○ | |
そば 乾麺 | ○ | ○ | ○ | |
うどん | ○ | ○ | ○ | |
ラーメン | × | × | ○ | |
冷麺 | ○ | ○ | × | |
パスタ | ○ | × | × | |
作業スペース | 特に不要 | 特に不要 | 3坪以上 | |
イニシャルコスト | 90万円 (ミキサー含) |
150万円 (ミキサー含) |
200万円 (ミキサー含) |
|
生産コスト (多いほどコストはかかります) |
※※※※ | ※※ | ※ | |
備 考 | 少量向き | 時間当たりの生産性大 | 少量には不向き |
ご要望に合う製麺方式が見つかったら、次は、実際に製麺機を使っていく際の重要なポイントをチェックしましょう。
- 安全に製麺できるか?
実際に製麺機を扱う人が安全に使えるかどうか一度チェックしましょう。 - 製麺工程にムダがないか?
できれば、水まわし~製麺まで、一連の作業を体験させてもらいましょう。
製麺機で麺を出した後、粉にムダが出ないかという点も重要です。 - 性能がよく、長く使えるか?
何年くらいの耐久性があるか、メンテナンスもスムーズに行えるか一度確認しましょう。 - 機械の掃除がしやすいか?
機械製麺の場合、掃除のしやすさも非常に重要です。
掃除しやすい材質を選びましょう。 - 自分が出したい好みの食感が作れるか?
好みの食感の麺が製麺できるか相談してみましょう。
できれば実際に試食されることをお奨めします。
製麺機を選ぶ基本は、1.そのお店(使う人)の形態や用途に合ったものを選ぶことです。
そして、2.性能がよく、実際に使う人にとって使いやすい、安全なものを選ぶことがよりベストでしょう。
製麺機選びで失敗しない為に、是非比較検討して納得のいく製麺機を選んでください。
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押出製麺とロール製麺
手打の製麺は別として、一般的に日本では製麺工場でも自家製麺のお店でもロール式の製麺機が主流です。しかし、麺を多く消費するイタリア・韓国の製麺工場ではスクリュー式が多いように思います。
何故日本ではロール式製麺が主流になったのでしょうか。
ひとつは、手打ちのプロセスがそのまま機械に置き換えることができたことでしょう。
水まわしはミキサーで、延しは麺棒をロールに替えたロール製麺機で作る工程は違和感がなかったのでしょう。
ふたつめは、押出式製麺の場合、圧縮が強過ぎると麺の密度が濃くなります。特にそばの場合は固い食感になった為、ロール式でないと美味しい麺はできないとされてきたようです。
逆に考えると、乾燥パスタのようにしゃきっとした固い食感はロール製麺では無理のようです。
押出方式でそばを最初に作ったのは、私の知っている限りでは30年位前に、(チェーン店の)家族亭さんの創業者が冷麺の押出機で更科系の細いそばを作っていたのがはしりのようです。東京以外の地域では「太い田舎そば以外はそばでない」という空気でしたから、あまり普及しなかったようですが。
その後、10数年前、盛岡の玉山さんが押出式の製麺機で、東京で好まれる更科系の細打ちをはじめてから、ツルツルシコシコのそばも若い人を中心に好まれるようになったようです。
いわゆるそば通の好む、噛んでそばの香りと味を楽しむ世界とは別の趣向に合ったのでしょう。当時、私もそば嫌いでしたが、ツルツルシコシコの十割そばは感動したものです。
ロール製麺ではできない十割そばが押出製麺でいとも簡単にできるようになりました。どちらが良い悪いではなく、お客様の好む、美味しいと感じてもらえるものを提供していくのが飲食店の原則でしょうから、両方の製麺方式がこれからも両立していくことでしょう。
ノズルと食感
押出式製麺では、ノズル(口金)のサイズと数がかなり大きいウェイトで食感を左右します。
例えば、
※孔の総面積が同じでも小さい孔のほうが多少ツルツルシコシコの麺になる
例)
A:1.5×1.5 100ケ孔
B:1.8×1.8 70ケ孔
・・・同じ総面積でもAの方がツルツルシコシコです
※平角と角では平角のほうがツルツルシコシコの麺になる
例)
A:1.7×4.0 24ケ孔
B:2.0×3.5 24ケ孔
・・・同じ孔数でもAの方がツルツルシコシコです。
※短い辺が2mm以上になると総面積が同じでも極端に抵抗が少なくなる
例)
A:2.0×3.0 40ケ孔(標準総面積)
B:2.0×3.0 24ケ孔に孔数を減らす
・・・同じノズルサイズでもBの方がツルツルシコシコです。
当たり前なのですが
小さい孔ほど抵抗が大きい
角より平角のほうが抵抗が大きい
2mmより太くなると抵抗がうんと小さくなる
ことがわかっています。
孔数の設定で、いろんな食感が可能です。
そば作りでボソッとした食感が欲しい場合と、つるっとした食感が欲しい場合で孔数設定が違ってきます。
また、うどん・冷麺などはそばに比べて孔数を少なくする事が必要になるようです。